陋巷

【ハロウィーン企画】故人100人チャレンジ第四夜:鬼畜生の系譜

 木漏れ日山の奥深く、神に縋るは鬼畜の子



※注意!

・性的及び暴力表現

以上の事柄に不快感を覚える方は、この記事を閲覧をお控えくださいますよう、何卒お願い申し上げます。
また記事の内容は全てフィクションであり、殺人を肯定するものではありません。
特定の個人、人種、性別、宗教を貶める、もしくは称賛する意図はございません。











主よ、私の祖父を、父母を、そして私自身をおゆるし下さい…ああ…





 




白川 昭夫の生い立ち

シラカワアキオはコモレビ山の観光街、および周辺の住宅街から一山分ほど離れた辺境の村落に生まれた。
シラカワ家はとある理由で村八分にされていたおり、幼少期から常日頃、キオは村の他の子どもたちからいじめられていた。
しかし、アキオはなぜ自分たちが村八分にされているのか分からなかった。きっと自分たちが何かいけないことを言ったり、やったりしたのだろうと思い、常に自分の悪いところを探しては自責していた。



シラカワ家の集合写真、左からサチコ、ハル、アキオ



そのころの父親はめったに家に帰らなかった。村での仕事も与えられず、都市部での働き口も見つからず、一日中村をほっつき歩いていた。
そして、亭主が留守の家にあがりこんで、酒や人妻、その娘たちを貪っていた。

たまに帰ると妻のハルとアキオに暴力をふるっていた。
また、アキオに「俺がこうなったのは、他の誰でもない、親父のせいだ」と怒鳴りつけ、怒声に震え、縮こまったアキオを裸にし、気のすむまでねちねちと折檻した。父親の機嫌が悪ければ、たとえアキオが寝ていようが、用を足していようが、お構いなしに部屋まで引きずられて暴行された。



幼少期のアキオ。遊びに行った先でいじめにあい、家に帰っても親父に殴られる。けがをしない日はあっただろうか。



人間関係が重要である地域社会で、アキオは完全に孤立していた。


母親は熱心なキリスト信徒であった。キリスト教を信仰している者は他に誰一人としておらず、それも疎外される一要因になっていたが、夫に虐待されても耐えられるのは、信仰心の賜物であるといい、アキオと妹のサチコに毎日教えを説いた。また、ほとんど帰らない父に代わってコモレビ山のふもとの観光地まで下山し、そこで働いていた。



母親がいない間は幼い妹の面倒をアキオが見なければならなかった。どこにいても妹と一緒にいなければならないのは彼にとって苦痛であった。何も知らずに笑う妹が憎らしいと感じていた。殴りそうになっても、聖書の言葉を思い出し、なんとか自らを落ち着かせた。それから母親に言われたとおりに、毎日祈りを捧げた。一日でも怠ると、母親に怒鳴りつけられた。




母親は極度の(夫の影響もあり)男嫌いで、常々侮蔑していた。
自分の息子でさえ嫌悪の対象であり、妹の面倒は見たがアキオは放置していた。
しかし信仰心だけは兄妹に徹底的に教え込み、洗脳していった。
アキオも母親が自分を嫌っているのを分かっていたので、祈りと聖書の朗読の時間以外はなるべく離れるように外出していた。




ある日、アキオが山奥で遊んでいると、遠くの方で一人の男が
裸で倒れていることに気づいた。
アキオはなぜこんなところで人が寝ているのだろうと思い、近づいた。



男は息絶えていた。全身を殴打された跡があり、致命傷となった頭の傷口から流れたであろう血は凝固して顔をどす黒く染めていた。

アキオはうろたえて、その場からすぐに逃げだした。
しかし、死体のことが忘れられず、もっとよく見たいと思い直し、数時間後またその場所に戻った。が、もうそこに死体は無かった。





夜、家に帰ると村人たちが家に集まって母親と話をしていた。
村人たちはアキオが帰ってきたのを見ると、話をやめて家を出た。


アキオは母親と村の男衆のただならぬ様子が気にかかり、帰る村人たちの後をつけた。すると、彼らの会話が聞こえてきた。



「…あの野郎はどうしようもなかった」
「人殺しの息子だ、やはり血は争えんのじゃ…」
「家の女房もあいつに無理やり犯されたんだ、殺してすっきりしたぜ」
「しっ、あまり大きな声でそんなことを言うな…誰かに聞かれたらどうする」
「なんだよ、いいじゃねえか、シラカワの野郎を殺したって言ったらきっと村中から感謝されるぜ」


日中見つけたあの死体はアキオの父親であった。



家に帰り村人の話が本当であるかどうか、母親に問い詰めると、彼女は祖父が大量殺人犯であることも、父親が村の自警団によって殺されたことも、村人の話が全て事実であることを認めた。



祖父はかつてコモレビ山で30人以上を殺傷する事件を起こしていた
老若男女問わず、手あたり次第に切り殺していった



彼の所業の犠牲者は、アキオの生まれた村落に住む人だけに留まらず、コモレビ山の都市部の住民、さらには観光地に訪れた、この地に関係ない旅行者にまで及んだという



シラカワ家が村八分にされていた最大の理由は、殺人鬼の祖父がコモレビ山にもたらした忌まわしい災厄であった





殺人が起こっても、村の様子は何一つ変わらなかった。
いつものように日の出と共に起き、田畑を耕す村人の横でつまらなそうに昼寝をするどこぞの飼い犬。
夕暮れになれば、人々はそれぞれの家に帰り、一家だんらんの時を過ごす。
そして丑三つ時には家から、はたまた納屋から、男の荒い息遣いと女の悩まし気なうめき声が聞こえてきた。

吐き気がした。

母親もまるで初めから父親が居なかったかのように生活し、神に祈りを捧げる。
父親を憎んではいたが、一方で「父」と言う存在自体への尊敬の念も、完全には失せていなかったアキオは、母親を含めたこの「村」全体の態度に恐怖し、激しく憎悪した。




一時的にマクミラン家の養子に

とうとう母親が精神に異常をきたし、精神病院に入院した。村に住む誰もがアキオとサチコの面倒を見ることを拒否したので、二人は里子に出された。そして遠く離れた田舎町のマクミラン家の養子となった。




マクミラン、ムーディー家に養子になった時の写真

新しい土地でもアキオは孤独であった。アキオはすでに内向的で他者への不信感を強く抱く性格になっており、この村の住人が自分を殺人鬼の子孫だと知っていて軽蔑していると思い込んでいた。

義父たちはとても良くしてくれたが、心を開くことはできなかった。
散々男性や父親の醜悪さを母親から聞かされていたため、アキオも母親と同じく男性を嫌悪するようになっていた。
いきなり父親が二人も増えても受け入れることなど到底できなかった。

入退院を繰り返していた母親を支えるために、アキオは働きだした。
幸せそうな義父たちを見るのも嫌だった。
Henford on Bagleyで新聞配達や、八百屋で接客をしたりして小銭を稼ぎ、母親のもとに金を送った。しかし、母親はその金を酒に使い、アルコール中毒になっていた。

アキオも初めのうちはうまくいっていた仕事も次第に休むようになり、長くは続かなかった。
彼の中の自分の中に流れる血の為に、人を傷つけてしまうのではないかと言う恐れが、強迫観念へと膨れ上がり、頭の中を支配していき、そのため人とうまくコミュニケーションがとれなくなっていた。



めまいと動悸が頻繁に起き、自分の意思に反して手が震え、物が持てないこともあった。自室でふさぎ込むことがだんだんと多くなった。
やることと言えば、泣くか、本を読むか、



そして祈りを捧げるか。彼はこれに一番多くの時間を費やした
祈ることによって一時的に症状は治まった。
初めのうちは何の意味があるのか分からす母の言うがままに行っていたこの儀式も、今となっては彼の一部、なくてはならないものとなっていた。

だが、時には窃盗をしたり、妹を殴ってしまうこともあった。
そのたびに自責の念に駆られ、また繰り返してしまうのではないかと苦しんだ。
そしてそのたびに「父」に赦しを請うた。
Henford on Bagleyでのアキオの問題行動は、自身のみならず、義父や妹にも悪い印象を住民に植え付けた。






再び故郷へ


アキオが17歳のころ、母親が退院したのを機に、再び故郷で暮らすことになった。しかし成長したアキオを見て母親は怒り狂い、罵詈雑言を浴びせた。
母親の精神状態は、悪化をたどる一方であった。しかしもう、一家には治療したり、移住したりするだけの金も、気力もなかった。

ある日、自分は将来神父になりたいと、母親に言うと、彼女はお前みたいな鬼畜生の血が混じった穢れた人間がなれるはずがないと罵った。

アキオは激怒し、母親を殴り飛ばした。そして家を飛び出した。



走り去るアキオの背中に、母親は鼻血を垂らしながらも、その姿が見えなくなるまで、憎悪にまみれた非難の言葉を浴びせかけていた。



それが母ハルと、アキオの最後の会話となった。





その夜遅く、母親と妹が心配になり自宅に戻ったアキオは、異変に気付いた。
とうに二人は寝ている時間にもかかわらず、家の明かりがついていたのである。



不審に思ったアキオは、窓の外から様子をうかがった。



「ゔ……ぅ……………」
「はア…ハア…ッやっぱり若いオ〇コは締りが違う」
「肌のハリもいいなあ、たまんねえ」



「おいっ、次はオレにも回してくれや…ババアの方はもうだめだ」



「別に構わねえが…さっさとしろよ、この後こいつら始末しなきゃなんねえんだ」




アキオの目に入ってきたのは、暴行されぐったりとした母と妹が村の男たちに犯されている光景だった。



妹はわずかに動いていたのでかろうじて息はあるようだった。

そしておぼろげにアキオのいる窓のあたりを見つめ、わずかに唇を動かした。





それを見たアキオは悲鳴を上げた。
甲高い、女のような悲鳴だった。



「誰だ!!」
「きっとここに来た時にいなかった残りのガキだろう、ちょうどいい捕まえてぶっ殺せ!」

アキオは振り返ることもなく、二人を置き去りにして逃げた。



吹きすさぶ冬の冷たい風がアキオの顔を突き刺し、真っ赤に染めた。





その痛みも、自身の頬を伝う涙の温もりが消えていくのも意に介さず、
鎖を引きちぎった雄犬のように、ただひたすらに走り続けた。
















現在

現在、アキオは二人の男性とルームシェアをしている。


亡霊のようにあてもなく、ふらふらと見知らぬ町をさまよっていると偶然、彼らと出くわしたのだった。
黒人の男はあまり乗り気ではなかったが、白人の男は家の雑用をすべてこなす事を条件にアキオが自分たちの家に住むことを提案してくれた。
すみかだけでなく、金も、今日の食い物すらあてのなかったアキオはその条件をのみ、家においてもらうこととなった。

この関係は今現在でも続いている。




こちらが現在のアキオです。髪が伸びました。

ここまで全く出番のなかったシラカワの半生を考えてみました。
そしてこの先もしばらく出番はありません。もう登場しないというわけではありません。

で、上の二人がキルし回ってる間、アキオは何をしていたか簡単にまとめますと、



絵を描いたり


体を鍛えたり


壊れた家具を直すのに忙しくて用を足すのを忘れたり



クリスが婚約者といちゃいちゃしたり


ブライアンが女性のキルシーンを思い出しながら自慰しているときに


二人を穢らわしいと軽蔑しながら一人水を飲んだり



家で起きた不祥事の後始末をしたり



懺悔したりしていました。


要するに、ほとんどスキル上げ以外のことをしていないと言うことです。
絵を売ってお金を工面しているのも彼です。さらに売ってお金に余裕が出来たらパソコンを買って彼に執筆させるつもりです。

しかし彼はもっと効率的なお金の手に入れ方を知っています。
なのでその方法でお金を手に入れた際は、記事にしようと思います。







ハロウィーンは終わりましたがこの企画は完走いたします。
よろしければもうしばらくの間お付き合いいただけると幸いです。










故人100人チャレンジ第四夜:鬼畜生の系譜 キル数23/100(変化なし)












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